研究内容

(左:神経細胞の極性、中:線毛上皮の頂底極性、右:線毛上皮の平面極性)
(PNAS 104:3213-3218; PNAS 107:10490-10495 より)

分子・細胞・組織の持つ極性構造やそれらの構造が示す現象に着目し、 細胞生物学、発生生物学、分子生物学、生化学、組織学の諸技術と顕微鏡技術を駆使して、 ヒトや脊椎動物のからだの構築をミクロからマクロの視点で探究しています。 解剖学の基本は『観察』ですので、ミクロ・マクロを問わずじっくり丁寧に観察することを研究の最重要ポイントにしています。 主に以下の課題に取り組んでいます。

線毛の新しい動態と機能

気管の上皮に生えている線毛(本ページ挿入写真の真ん中;ホームページ挿入写真の左から2番目)や、 全身のほぼ全ての細胞に生えている一次線毛(ホームページ挿入写真の左から3番目)の『動き』を観察し、 新しい動態の発見と、その生理学的意義やメカニズムの解明を行います。 ミクロな構造の些細な動きが細胞や組織、更にマクロな個体にドラスティックな影響を及ぼす点が本課題のハイライトだと思っています。 主に以下の技術を使用します。

  •  器官培養
  •  高速イメージング <200-500 fps>
  •  タイムラプス蛍光イメージング(学内共通機器)
  •  マルチオミクス <プロテオミクス、RNA Seqなど>

発生における細胞間情報伝達

個体発生ではモルフォゲンの濃度勾配が非常に重要な役割を担います。 勾配を別の言葉で言い換えると、方向性を持った細胞間・組織間の情報伝達ということになります。 方向性を生み出すためには細胞や組織の極性が大きなカギとなります。 本課題では、既存のモルフォゲンによる方向性や領域化決定に留まらず、 新しいモルフォゲン様因子による細胞間組織間情報伝達を明らかにし、 個体発生におけるその役割の解明を目指します。 主に以下の技術を使用します。

  •  ニワトリ胚操作 <組織移植、遺伝子導入など>
  •  ゲノム編集 <遺伝子破壊、ノックイン>
  •  組織透明化
  •  蛍光断層マクロイメージング <AxioZoom ApoTome2>

翻訳後修飾による細胞骨格制御

分子として極性を持つ微小管を対象に、その構成分子であるチューブリンの各種翻訳後修飾 (グルタミン酸化、グリシン化、脱チロシン化、Δ2化、Δ3化、アセチル化など) が、微小管の構造や機能、更には細胞や組織の極性構造や機能にどのように関与しているのかを探究します。 分子表面の電荷や分子構造のレベルで分子間相互作用を意識する点で、 ミクロ解剖学より更にスケールの小さな『ナノ解剖学』となります。 主に以下の技術を使用します。

  •  in vitro 再構成系 <微小管、モーター分子>
  •  タンパク質操作、抗体操作
  •  FRAP、FLIP、RICS(学内共通機器)
  •  超解像顕微鏡(学内共通機器)